8Way Reflection
8Way Reflection の効果
- スポーツ中継
- 映画
- ドラマ
2 『リアルな声の表現』が可能
- ASMR
- ナレーション
- CM
- LIVE
- スポーツ中継
- ドキュメンタリー
<実用例>
- 【3D LIVE 配信】 … LIVE/スポーツ中継等、リアルタイムでの配信が可能
- 無観客ライブに新たな価値観を提供
- 【3D ミキシング】
- 従来のステレオから脱却し、サウンドを進化させます
- 既存のマルチセッションから3Dミックスを制作することが可能
- 【サラウンド → バイノーラルステレオへの畳み込み】
- 既存のサラウンド作品を誰もが楽しめる2.0chフォーマットに変換
一方『8Way Reflection』の畳み込みでは『Ls』と『Rs』トラックをPhase Controlし、バイノーラル・レンダリングにより畳み込みが行われる。こうすることにより、後ろ側に定位されていたサウンドは、ステレオ再生でありながら“あたかも後ろにスピーカーがあるかように”聴こえる。これはバイノーラル特有の“バーチャルスピーカー”の考え方によるものだが、8Way Reflectionをプラスすることで、よりリアルな空間が再現される。
ちなみに8Way Reflectionを付加せずにバイノーラル・レンダリングを行うことでも、ある程度の立体感を出すことは可能だが、リアルな空間を表現するためには“初期反射”を利用した熟練したミックス技術が必要になる。
『8Way Reflection』はそうした技術を“簡単に行うことができるツール”と言うことができる。
通常のバイノーラル・レンダリングではリアルな空間を再現できない |
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『バイノーラル・レンダリング』を行うことで3D空間をステレオで再現することが可能になるが、ステレオ再現に於いては特に“後ろ側の定位感”と“上下感”を出すのが難しく、現在市販されている3Dパンナーやバイノーラル・デコーダーだけではリアルな立体空間を再現できないのが現状である。
その主な原因として挙げられるのは『HRTF』(Head-Related Transfer Function=頭部伝達関数)の問題。
HRTFとは 、耳の形や頭、肩などの影響を受けながら左右の鼓膜に届くまでの音の変化を伝達関数として表したもので、その形状の違いによって立体空間の聴こえ方は十人十色である。そのため、バイノーラル・レンダリング時に使われる汎用的なダミーヘッドのHRTF等で畳み込まれた3Dサウンドでは、ある人は立体的に音が聴こえても、またある人には全く立体的に聴こえないということが起こるのだ。
3D空間をステレオで再現するためには、HRTFを使って畳み込むことが必須であり、この問題を解決しない限り ”立体音響の普及” は困難であると言っても過言ではない。
※ダミーヘッドの代表格で ”HRTFの基準” となることが多いが万人に合わせることは不可能
現在はその対応策としてリスナーが自分の耳の写真を撮影し、膨大なプロファイルの中から個人に適合するHRTFをAIで再構築するシステムも海外では実用化されているが、リスナーへの負担が生じることに加え、コンテンツ自体がとても少なく制作自体も限定されているため普及へのハードルは低いとは言えないだろう。
この難問を『ミキシング技術』で解く |
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”特別な再生機を必要としない技術”
単音、和音にかかわらず楽器や声などの『音源』はごく短いディレイ(5ms〜15ms程度)を付加することにより ”位相変化” を起こす。
『8Way Reflection』は、この特性を活かし8方向に分割された合計16台のディレイが3D空間の位置情報を正確にサポートするよう設計されており、音源に ”位相変化を起こさせる” ことによって『より立体的な空間を感じさせること』そして『より正確な360度の定位感を認識させること』を可能としている。
個人によって感じ方が大きく異なることも珍しくない、バイノーラルに於ける立体音響であるが、本技術は ”HRTFの再現能力に大きく依存することなく立体感を再現” することを可能にしており、それは複数の被験者のフィードバックにより明らかとなっている。
8Way Reflection のワークフロー
16台のディレイには ”独自のフェイズ・コントロール理論” によって導き出された数値を入力していくが、
各方向に配置されたディレイは3Dパンナーの位置情報に応答してかかるため、音源の位相も定位により変化することになる。また音源はパンニングによって位置情報を持った実音と、それに応答したディレイとの音響合成によって位相変化を起こすことになるが、位相差による感じ方の変化や定在波の問題など、かなり緻密な計算が必要となる。
変化させる位相差は“90度”で人は最も音色の変化を感じることが Plomp & Steeneken(1969)の研究により明らかになっているが、倍音や和音など様々な周波数が入り乱れる3Dミキシングに於いては、特定周波数にコンタクトした先の研究結果を単純に当てはめることでの説明は不可能であり、より前後感を出すことや左右に於いてシンメトリーに作用させることが結果として求められる。
しかし本技術は、90度に近い位相関係になる周波数の研究から始まっており、その波長から導き出したディレイ値を“ルート音”や“楽曲キー”に対応させることでかなりリアルな後方感を出すことが可能となった。
このように、前後感を出すための『音程=周波数』に対応した位相変化技術を始め、和音や自然音に対する有効な位相角度を追求する独自理論により、『8Way Reflection』ならではの3D空間表現が完成された。
そして『8Way Reflection』最大のアドバンテージは、
リスナーは手持ちのイヤフォンやヘッドフォンで立体空間を体感することができるのである。
3Dミキシングと8Way Reflection |
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この手法でミックスを行えば、ノーマルのL,Rパンナーとの使い分けで通常のステレオミックスと3Dミックスを混在させた、いわば『2.5Dミックス』も制作することが可能である。つまり、従来の2Dパンナーで配置された“頭内定位”の音源と、頭の外側に音があるように感じさせることができる3Dパンナー+8Way Reflectionの音源をひとつのセッション内で使い分けながらミキシングできるということだ。
これはミキシングの可能性を大いに広げるものであり、定位が360度になることで得られる空間表現の自由度や位相変化による前後感の提示は、長らく “ステレオ” のまま止まっていた “音の進化” を加速させるものとなるだろう。
そして8Way Reflectionは単純に定位感を広げるだけではなく、音が立体的になることで起こる『人の感じ方の変化』、また映像とリンクすることで起こる『刺激と没入感』、それらを大きく促進させる目的で開発されており、今後は誰でも簡単に扱うことができる“プラグイン化”、そして他の立体音響研究とのコラボレーションなども視野に、幅広い角度から次世代のサウンドを制作するツールとして成長させていきたいと考えている。